アークヒルズは、森ビルの大規模複合再開発プロジェクトの先鞭を切った事業です。遡ること1967年、森ビルがこの地に最初の土地を取得し、行政による再開発適地指定を受けてから、じつに19年の時間を費やしています。森ビルの街づくりへの理念が、この膨大な時間とエネルギーを支えたと言っても過言ではありません。

開発経緯年表
  • 1971年
    東京都「再開発適地調査」を行い適地指定
  • 1973年
    港区「再開発基本計画」発表
  • 1978年
    赤坂六本木地区再開発準備組合設立
  • 1979年
    都市計画決定告示
  • 1982年
    赤坂六本木地区市街地再開発組合設立認可
  • 1983年
    権利変換計画認可
  • 1983年
    着工
  • 1986年
    竣工
施設計画

高度利用実現のため、5.6haを1つの街区としてまとめ、開発前の折れ曲がった狭小な道路(総面積2,000m²)を幅員12m及び8mの外周路(同7,000m²)として整備しました。旧来の地区内の区道はすべて廃止し、新たな外周道路を新設区道としています。なお、この外周路は、今や名物とされるほどの桜並木に成長し、開花の時期に多くの人々を楽しませています。

高速道路の走っている幅員40mの放射一号線沿いには、超高層でかつボリュームのある事務所とホテルを並べ、日照条件の良い南側の丘の上には、6階、21階、25階の住宅、計3棟を配置しています。住宅棟と事務所棟の間には広場をつくり、その広場に面する部分、及び地下にはテレビスタジオを置きました。また、住宅棟の北側には低層のコンサートホールを広場に面する形で配置し、北側隣接の既存住宅への環境に配慮しています。 幹線沿いの商業系のゾーンは容積を高く積み(事務所・ホテル)、南側の文化・住宅ゾーンは容積をおさえるという「団地の総合的設計の手法」によるいわゆる「容積の移動」を行っています。

また当地区は丘陵地にあり、地域内に20m位の高低差がありますが、その差を利用して段々畑状の広場をつくっています。この立体的広場や、ペデストリアンデッキの整備による歩行者路構成によって55%にも達する公開空地率を確保することが可能となりました。 面的開発では、街区全体の統一性と各建物の個性とのバランスが重要となりますが、街としての骨格、アークヒルズという街のアイデンティティーを保ちながら、各建物はその個性に応じた個性を発揮できるようにと考えました。